FileMaker を使ったシステムを開発し、”とにかくスゴいカスタムApp”を競うコンテスト「 FM-1グランプリ」がiC株式会社 合同会社イボルブ 株式会社未来Switchの3社主催で開催されました。
応募作品数:44作品(バージョンアップによる再応募も含む)
予選通過数:14作品
という盛り上がりを見せ、無事終了しました。
3人で事務局を担った担当者が、今回のイベント運営の舞台裏をご紹介します。

手探りで始まった大会運営
3社ともこの様な大会運営はしたことがなく、手探りで始まりました。
プログラムのコンテストを開催するにあたって必要なことは
告知
作品を受け付ける
レビュー記事を書く
You Tubeで配信
賞品送付
と考え、必要なシステムは
Webサイト
作品応募フォーム
審査システム
配信システム
と判断しました。
もちろん、普段の業務と並行して行わなければなりませんので、出来る限り省力化しなければなりません。
これまでの運営をご覧になった方は解ると思うのですが、独自ドメインのWebサイト、作品のアップロードが出来るWebフォーム、予告動画&作品紹介オープニング動画、You Tube配信といった様々な技術が運営に使われていると気づくはずです。その辺を外注する予算はありませんので、全て3社の誰かがしなければなりませんでした。
それら問題はほぼローコードツールを使って解決しています。
■Webサイト
WixというサービスでWebブラウザのみでサイトを構築することが出来ます。目的あったテンプレートを選んでコンテンツを入れていくだけでWebサイトが完成します。ドメインもWixのサービス内で購入できるので、コンテンツが決まれば作成から独自ドメインでの公開まで1日に行うことが出来ました。

FM-1グランプリのロゴはLogoist 3(最新バージョンは4)のテンプレートを使って作成しています。

■作品応募フォーム
当初はGoogleフォームを想定していたのですが、ファイルをアップロードするにはGoogleアカウントへのログインが必須でした。そこで、その制限がないAirtableを採用しました。
Airtableは今回のメインシステムとなり、応募時のメール通知や審査システムにも使われています。


■審査システム


作品応募フォームにも採用されているAirtableを使っています。一覧形式やカンバン形式があるので、3社内での進捗や予選通過作品を管理するのに非常に便利でした。
アップデートの複数回応募等もAirtableで上手く管理しました。
そこに特別な仕組みを作らなくとも、Airtableの並び替えやグループ化機能の活用でなんとかなりました。
AirtableはFileMakerで言うところのレイアウトにソートと検索結果をセットにした”ビュー”という機能があります。元のデータには手を加えずに見え方を変えたビューを定義することで予選通過者、1時予選応募者等の管理が容易に出来ます。

応募~審査までを一つのシステムで行うメリット
「オーケストレーション( Orchestration )」という複数のサービスを連携させるようなやり方で行う方法もあります。例えば、今回の大会の運営目的であれば、
応募システム
応募ファイルを管理するサービス
メール送信サービス
を連携させる方法もあるでしょう。
ただ、それだけシステムが増えればミスが発生する確率も高くなります。例えば配布した応募ファイルの〆切日が後で変更になったとすれば、何らかの方法で通知しなければなりません。応募者によって〆切日が異なるなんて、運営としてはあってはならないことです。
応募時にファイルがアップロード出来ない場合は回避策を用意しなければいけません。メールアドレスを用意していたとしても、メールサーバーに容量制限があり、容量オーバーで受信しなかった場合は応募者は応募したつもりになっているのに、運営側は気がつくこともありません。
メール送信サービスを誤操作で本文が無い不要なメールを応募者に一斉に送信することもあるかもしれません。
個人情報の管理
作品を受け付ける際に、個人情報の取得を最小限にするため、本名も電話番号も頂きませんでした。連絡をするためのメールアドレスぐらいです。一つのシステムで応募から審査までを行っているので、Airtableから外にデータが出ることがありませんでした。
唯一出したのは、賞品の発送時ぐらいです。
今後の改善点
「応募を正しく受け付けられたのか?」という問題を応募者が証明するのは、デジタルの世界だと運営側が気を配らないと難しいなと感じました。郵送だと送付した記録は応募側の手間で残せますが、Eメールや応募フォームだとかなり難しいです。
事前に受付時には応募受付メールが来ることをアナウンスしておいた方が応募者は安心するのかなと思います。
また、Airtableだと応募フォームに入力されたニックネームだけを一般に公開することも可能なので、そういう方法もアリかなと思います。
■配信システム
WindowsでOBSを使用
カメラはGoPro
マイクはAnkerの会議用マイク(Anker PowerConf)
Macの画面キャプチャにはelgato GameCapture HD60S
ムービーについて
制作はFinal Cut Pro Xで行っています。3Dのビジュアルに応募作品のスクリーンショットが差し込まれて順番に紹介していくようなオープニンムービーですが、全てテンプレートを購入してスクリーンショットとタイトル等のテキストを貼っているだけです。特に技術がなくとも作成することは可能です。MotionElements®というサイトを利用しました。
動画はこちらから。
■賞品の用意
コンテストをするなら賞品があった方が燃えるに決まっています。
大賞は「MacBook〇〇〇」の最新版とふんわり設定しておいて、「MacBook Air」「MacBook Pro」のどちらが発表されても対応できるように考えていました。まさか、あんな良いMacBook Pro が発表されるとはコンテストを企画していた時は夢にも思っていませんでした。(想定予算オーバー)
購入予算としてFileMaker選手権2020で金賞を受賞した賀東穴鈴さんが賞品のMacBook Proを売却し、そのお金を活用しています。
賞品の最難関問題 PlayStation 5 デジタルエディション
これは当初から予想されていましたが、とにかく抽選が当たらない。ディスクがないデジタルエディションなので、それほど難しくないと思っていたのですが、とにかく抽選が当たらない。
様々なECサイトに個人情報を提供し、やっと当たりました。
まとめ
FileMakerのコンテストですが、運営では一切FileMakerを使っていません。今回の不特定多数を相手にする&異なる組織での共同作業という用途ではFileMakerプラットフォームはライセンス的に非常に高コストとなるからです。
WebフォームとしてWebDirectを使うにはライセンスの問題が出てきます。そこが一番大きかったと思います。不特定多数に対してFileMakerプラットフォームはライセンスがかかり過ぎます。(5同時接続:¥294,000(税別)/年)
もちろん、APIで連携したりPHPを使うという手もありますが、半年しか使わないシステムにそこまでの手間をかけてもコスパが合いません。
Airtableなら1サービスで完結しますし、今回の用途では無料プランで済みました。特に、レコードが作成された時や編集された時をトリガーにして様々な操作を実行できるautomationsという機能は強力でした。「オーケストレーション( Orchestration )」の様に複数のサービスを連携させる必要なく、1ソリューションで実現出来るのは、バグが起こった時の原因追求が楽ですし、安定しています。

AirtableはFileMakerからAPIでデータを取得したり、アップロードすることが可能です。今回は使いませんでしたが、用途によってはFileMakerと連携すれば強力なツールになると思います。
FileMakerプラットフォームも不特定多数&異なる組織で使いやすいライセンス形態があればいいですね。kintoneのゲストユーザーライセンスの様な。
Webサイト構築、デザイン、動画作成、配信、データベース作成、等は専門的な知識が無くともある程度出来る時代になっています。
このようなコンテストの運営を初めてでも成功出来たのは、上記のようなローコードツールの存在ももちろんですが、それを運営するスタッフの意思決定の速さがあったのだと思います。また、複数人数で運営することでミスも回避出来ていたと思います。その辺のコミュニケーションはFacebook Messengerを使っていました。
舞台裏という題材でシステムと運営部分を語りましたが、それだけ成立しません。
応募者、スポンサー様の協力あってこそです。
応募フォームの自由コメント欄に書かれた内容は運営のモチベーションを高めました。
スポンサー様には多くの賞品を協力していただきました。
今年も企画だけは構想中ですので、乞うご期待ください。

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